稲刈りレポート、輪禍に遭った蝮 2014-09-13 [自然と農]
昨日は40年振りの稲刈り作業。
と言っても、手刈りは田んぼ1枚だけ。
あとは、驚異的な能力を持つコンバインのオペレーションを見守るのみ。
しんどいよりも気持ち良い一日だった。
こんな風景の中で働ければ長寿の里も頷ける。
広島市で大企業のエンジニアをしている、義姉の弟もわざわざ休みを取って手伝いに駆けつけてくれ、総勢4名の中年(参考までに青年期15~30歳、壮年期31~44歳、中年期45~64歳、前期高年期65~74歳・・・厚労省による)のおじさん・おばさんによる作業。
何と美しい光景。
[直立した稲はスムーズに。運転も楽]
本日は、県南部で一人暮らしをしているエンジニアの甥(実兄の三男)が手伝いに帰省してくれたので、ぼくはお役御免に。40年前とは別世界の今日の日本の稲刈り風景を紹介する任務に勤しむことにします。
【稲刈り作業の変化----ぼくの実家の場合】
50年前 家族総出で鋸鎌による手刈り。鎌の使えない子どもは束ねた稲を穂木まで運ぶ役割。脱穀や籾摺りは穂木に掛けた稲が乾いてからの別日の作業。
40年前 バインダー(稲刈り機)が登場。機械で刈れない端や隅だけ手刈りに。
30年前? 自脱型コンバイン登場。飛躍的に省力化。籾米袋の運搬などの力仕事はまだ残っていた。
2012年 小規模個人農家向けクボタコンバイン・ニューエアロスターウィットシリーズ・スペシャル機 S216(15.5馬力)2条刈1型式の導入。全ての作業が1人でも可能に。
[倒れた稲も見事に刈り取っている。刈る方向が重要]
【コンバインとは】
バリカンの櫛みたいな爪で倒れた稲でも見事に掬い起こして刈り取り、
横に倒して、大きなチェーンに咥え込み、
胴体の中にある千歯扱きの部分で脱穀(稲穂の籾米だけを分離)、
残りの稲藁は細断して後ろからバラバラと撒く。
まさに走る工場。
時速2.5km、ぶらぶら歩く速さで、以上の作業を全部こなしているのを目の当たりにして、田植えのとき以上に驚くのみ。
価格は220万円?くらい。これでもいちばん小さい2条刈り機種です。
4条刈りで500万円以上、6条刈りになると1000万円を超える価格。
巨大な田んぼならば3倍の速さで作業できる。人を雇う企業経営農業のコスト削減になるわけか。
機械化の犠牲になる生き物も。
手刈り時代は人を不安に慄かせていた毒蛇の蝮マムシも、クボタ・コンバインのスペシャル機の前には為す術もなし、頭や胴にキャタピラの無残な爪痕が(;_;)。
嬉しかったのはザリガニくんとの遭遇。
両手の鋏を開いての心からの歓迎、
いや威嚇でした。
[田圃の端の部分は溝、微妙な操作に神経を使うところ]
【驚異の省力化】
乾いてなくてコンバインの入れない田んぼだけ3人で手刈り。刈り取りだけなのに、汗だくになって1時間以上。
一方、コンバインはもっと広い面積の田んぼを運転手1人で30分以内に。而も、刈り取り、脱穀、稲藁の粉砕、籾米の軽トラ積み込みまでを!
天然農法とは真逆の、機械化農法。事業としての農業には必須。
自給自足的農作業には全く不要。大赤字になります。
400L以上の籾米をグレンタンクに貯め、象さんの鼻のようなロングアンローダからトラックの巨大な袋に籾米を排出。青い袋一杯で600kg程あるそうです。
トラックはそのまま地元のカントリーエレベーター(乾燥〜籾摺りの巨大施設)に直行。この日は3回運びました、計1.8トン。但し、乾燥させて籾殻を除去した後の米は2/3の重さになるそうなので、1.2トンつまり20俵の収穫か。
実家では、三日間で早稲の田圃の収穫を終える予定。
兄夫婦による息の合った連携作業。日頃は本業が多忙の兼業農家なのによく働くと呆れ、もとい、感心します。
隠者のぼくが一族のなかで如何に肩身が狭いかです(^O^)
上 稲が倒れてしまった田んぼ。コンバインの爪で上手く掬い起こせない角度の稲だけ、たぶん2割程を手作業で起こしてやった。残りはコンバインが見事に刈り取った。
下 1時間弱後、最後の1列を進む。
倒れていたぶん、この田んぼがいちばん時間がかかった。
空には燕の群。写真では2羽しか捉えられなかったが、実際は10羽以上。田んぼの羽蟲が散らばったのを食べに。稲穂の残骸もあり、雀も暫くは大喜び。
【手伝いの勧め】
自営業の親御さんへ
子どもさんたちにぜひ家業のお手伝いをさせましょう。
塾でも、「家のお手伝いをして家族の役に立つ喜びを」と呼びかけていました。
聞く限りは、お手伝いをさせない家庭、させても食器運びとか風呂の準備とか犬の散歩とかの名目だけの作業程度、あるいはお小遣いを与えての作業、という家庭が多かったです。
もっともっと子どもたちも家業に参加するほうが、家の役に立っている喜び・誇りを体感できて、何よりの教育です。自営業の家庭は、家族全員で共同作業をする「家族業」がすぐに出来る幸せを喜びましょう。
難しいのは賃金労働者家庭。いくら高給取りでも、親の働く姿を子どもに見せられない場合が多いため、子どもが親の働く姿を知らないまま、労働観の形成に家庭が関与しないまま、子どもが成長。子どもが気の毒です。そうならぬよう、心あるご家庭では親が上手に子どもに仕事観を伝える工夫をされています。
子どもを働かせることに要らぬ配慮や遠慮をしている家庭が多いように感じるので一言書きました。
さいごに今朝の収穫たっぷり。
この頃の定番に。インゲン、今朝も75本、しぶとい。
空芯菜、万願寺唐辛子、茗荷。
懐かしい光景でしす。
先住地は 水田地帯で 1枚の田が2haもある大きさ、
今頃 盛んにエンジン音が響き始めている頃でしょうか。
大勢での収穫作業、作業後は勿論 どぶろく? (*^▽^*)
by cooper (2014-09-14 15:04)
cooperさま、2haとは大きい。農機具も大型だったことでしょう。
どぶろくは小生の宅飲み限定品。門外不出なのであります。
汗をかいたあとはやはり麦酒がいちばん(^O^)
by ojioji (2014-09-14 22:55)